昨日、予想だにしなかったニュースが競馬界を駆け巡りました。
そのニュースとはこれです。
京都新聞杯など重賞3勝を挙げたスマートオーディン(牡3歳、栗東・松田厩舎)が転厩することが18日、分かった。厩舎サイドとオーナーサイドの方針の違いによるもので、今後は新たに栗東・池江厩舎の所属となり、再スタートを切る。
引用元:重賞3勝のスマートオーディン、池江厩舎へ転厩|スポーツ報知(リンク切れ)
このブログでも何度か名前を出していたスマートオーディンが転厩することになりました。
この記事の目次
滅多に起こらない転厩劇がまさか自分の応援厩舎に…
「転厩」というのは競馬界独特の用語ですが、競走馬を管理している厩舎が変わることを言います。
ウチの業界で言えば、まさに「顧問税理士が変わる」状態ですね。
会計業界では顧問税理士が変わることはそう珍しいことではありませんが、競馬の世界では通常一度預託契約をしてしまえば、引退するまで馬が転厩することはそんなにありません。
ましてや、重賞を3勝もするほどの実績を挙げている馬の転厩となると本当に珍しい。
そんな稀有な出来事が久々に起こりました。
しかも私の応援している厩舎の馬で。
このニュースを見た瞬間は血の気が引くぐらいに驚きました。
なんせ、つい先日ダービーまで応援に行ったまさにその馬が転厩して他の厩舎の所属馬になるわけですから…。
厩舎を応援しているファンにとって転厩は一番辛い
改めての自己紹介ですが、私は松田国英厩舎(松国厩舎)と高野友和厩舎を応援している競馬ファンです。
関連記事松田国英調教師に魅せられて【私が競馬にハマっている理由】
私のように厩舎単位で馬を応援している人間にとって、
「応援馬が応援している厩舎の所属馬でなくなる」
というのは一大事です。
応援している厩舎にいるからこそその馬を応援していたのに、その厩舎から出ていってしまうとなるとその馬を応援する理由が無くなってしまいます。
転厩先の厩舎が好きな厩舎ならまだ応援も続けられるんでしょうが、今回の転厩先の厩舎は(ファンの方すいません)私自身どうしても好きになれない厩舎なので、転厩後も今までと同じ気持ちでオーディンを応援するのはまず無理です。
また、この馬は今の松国厩舎の中では唯一の活躍馬なので、厩舎の今後の成績を左右するという意味でもこの転厩は痛いですね。
「今年のような弱さのオリックスで絶好調時の金子千尋が孤軍奮闘していたのに、その金子がFAで出て行ってしまったような状態」
と言えば野球ファンの皆さんにも失ったものの大きさをイメージして頂けるかと思います(笑
ただ、それでも意外と冷静な自分がいました。
なぜかというのはその理由にあります。
考え方が合わないのはどうしようもない
上の記事によると、転厩の理由は
「厩舎サイドとオーナーサイドの方針の違いによるもの」
とあります。
この言葉だけでは言い表せない理由が裏でいろいろありそうですが、それはまぁ置いておくとして。
この理由を見て皆さんはどう思われたでしょうか。
「それぐらいどうにかならんの?」
確かにそうかもしれません。
調教師の一番の仕事は馬主の貴重な財産である競走馬を預かって、それを調教してレースに出して勝たせることです。
ただ、単に「レースに出して勝たせる」と言っても、
- どのレースを目標にするのか
- そのためにどのレースに使うのか
- 大レースを勝ちにいくのか
-
大レースは勝てなくてもトータルで稼げればいいのか
など、その過程や終着点への考え方は人によって様々です。
だから、今回のような揉め事は、表面化しないだけで大なり小なりどの調教師や馬主の間でもほぼ必ず発生します。
「たとえ自分と考え方が合わなくても、レースに勝ってお金が入って名声も得られるならやるか」
という選択もプロとしてもちろんありですし、普通はそうされるんでしょう。
ただ、松国先生という方はその過程や終着点に強烈なこだわりを持っている方です。
譲れない矜持が先生にはあって、今回はそれを優先されたということなんだと思います。
私自身も同様の考えです
私自身も、税理士として、個人事業主として独立開業した際に自分の中で決めたことがあります。
それは、
「どうせ自分の時間を費やして仕事をするなら、考えの近い方のお手伝いをしたい」
ということ。
「お客さんを選ぶってことか?生意気な!」
と思われるかもしれませんが、そうではなくて。
これは私だけではなく、お客さんの利益のためにも私自身が持つべき感覚だと思っています。
というのも、税理士も調教師同様(といっても、そこまでのスケール感はさすがに無いですが)、お客さんの財産を預かって仕事をする存在です。
そんな存在である我々が仕事をする上で大切にすべきことは「お客さんとの信頼関係」。
お客さんと同じ方向を向いて仕事ができていないようでは、我々が持っている力を最大限発揮することは難しいと言わざるを得ませんし、そんな状態で仕事をしていてはお客さん自身の経営判断にも必ず悪い影響が出ます。
そう思って仕事をしているからこそ、私も今回の松国先生の気持ちはとてもよくわかります。
「確かに残念やけど、根本的な意見が合わないならしゃーないな」
と私自身は思っていますし、先生もおそらくそんな気持ちの方が大きいのではないかと…。
大きな別れがあった直後は得てしてまた新たな出会いがあるもんです。
ファンとしてはそれに期待して引き続き応援します!
父ダノンシャンティも付けていたメンコを付けてダービーのパドックを周回していたオーディン。
父も担当して、この馬に対しても特別な思い入れがあったであろう担当厩務員さんの気持ちを思うと心が痛みます。
山あり谷ありだからこそ応援しがいもある
それにしても、山あり谷あり、いろんなネタに事欠かない先生です。
だからこそ応援のしがいもあるんですけどね。
JRAの調教師は70歳定年制。今年66歳になる松国先生に残された時間はあと約5年。
残りの時間もわずかですから、あとはご自身のやりたいようにやって欲しいと思いますし、私もファンとしてその「様」を陰ながら見守り続けていくつもりです。
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